※あくまで個人の解答として参考程度にお考え下さい。
第1問(配点20点)
(設問1)
D社の2期間の財務諸表を用いて経営分析を行い、令和3年度と比較して悪化したと考えられる財務指標を2つ(①②)、改善したと考えられる財務指標を1つ(③)取り上げ、それぞれについて、名称を⒜欄に、令和4年度の財務指標の値を⒝欄に記入せよ。解答に当たっては、⒝欄の値は小数点第3位を四捨五入して、小数点第2位まで表示すること。また、⒝欄のカッコ内に単位を明記すること。
| (a) | (b) | |
| ① | 売上高営業利益率 | 11.59(%) |
| ② | 総資本回転率(売上高÷総資本)または
有形固定資産回転率(売上高÷有形固定資産) |
1.53(回)
71.90(回) |
| ③ | 流動比率 | 433.64(%) |
【解説】
今年は特にひねったところもない普通の経営分析の問題でした。与件文にヒントもあり、それほど解答に迷わなかった人が多いのではと推測します。
①については設問2に書いてあるので割愛。②は総資産回転率を書いている人は少ないと思われるので、有形固定資産回転率でもいいと思います。ただ、第4問とリンクしていると思うので、総資産回転率のほうが正解という気がします。③についても第4問とリンクしていると思います。現金がほぼ倍増しているので流動資産回転率を書いてほしいのではと取りました。
(設問2)
設問1で解答した悪化したと考えられる2つの財務指標のうちの1つを取り上げ、悪化した原因を80字以内で述べよ。
「同業他社との競争激化により売上高が減少し、原材料等の仕入原価上昇で売上高総利益が減少したが、人件費等の削減を行わなかった結果、売上高営業利益率が減少した。」(77文字)
【解説】
ここは与件文にあることを、そのまま因果にまとめた形です。60点キープ狙いです。与件文にない自分の意見を書くよりは、与件文を根拠に因果にまとめるほうが「固い」と思います。
2問(配点30点)
(設問1)
D社の2期間の財務データからCVP分析を行い、D社の収益性の分析を行う。原価予測は営業利益の段階まで行い、2期間で変動費率は一定と仮定する。以上の仮定に基づいてD社の2期間の財務データを用いて、⑴変動費率および⑵固定費を求め、⑶令和4年度の損益分岐点売上高を計算せよ。また、⑷求めた損益分岐点売上高を前提に、令和3年度と令和4年度で損益分岐点比率がどれだけ変動したかを計算せよ。損益分岐点比率が低下した場合は、△を数値の前に付けること。
解答に当たっては、変動費率は小数点第3位を四捨五入して、小数点第2位まで表示すること。また、固定費および損益分岐点売上高は、小数点第2位まで表示した変動費率で計算し、千円未満を四捨五入して表示すること。
(1)変動費率
売上高×(1-変動費率)-固定費=営業利益なので、変動費率をVとすると
①5796105(1-V)-固=985027
②4547908(1-V)-固=527037
①-②:5796105(1-V)-4547908(1-V)=985027-527037=457990
5796105-4547908-5796105V+4547908V=457990
1248197-1248197V=457990
-1248197V=-790207 V=0.6330 A.63.30%
(2)固定費
上記①式に変動費を代入すると
5796105×0.367-固=985027 固=1,142,143≒1,142,000 A. 1,142,000円
(3)損益分岐点売上高
損益分岐点売上高=固定費÷(1-変動費率)なので、
1142000÷0.367=3,111,716≒3,112,000 A. 3,112,000円
【解説】
2年に1回でるといわれるCVP分析の問題です。まず公式を書いてから、公式に当てはめて計算します。特に難しい部分はなく、合格者はほぼ正解していると思いますので、間違えると大きな失点です。
(設問2)
D社のサプリメントの製品系列では,W製品,X製品,Y製品の3種類の製品を扱っている。各製品別の損益状況を損益計算書の形式で示すと、次のとおりである。ここで、この3製品のうち、X製品は営業利益が赤字に陥っているので、その販売を中止すべきかどうか検討している。
X製品の販売を中止してもX製品に代わる有利な取り扱い製品はないが、その場合にはX製品の販売によってX製品の個別固定費の80%が回避可能であるとともに、X製品と部分的に重複した効能を有するY製品に一部の需要が移動すると予想される。
⑴)需要の移動がないとき、X製品の販売を中止すべきか否かについて、カッコ内の「ある」か「ない」に○を付して答えるとともに、20字以内で理由を説明せよ。さらに、⑵ X製品の販売を中止した場合に、現状の営業利益合計2,500万円を下回らないためには、需要の移動によるY製品の売上高の増加額は最低いくら必要か。計算過程を示して答えよ。なお、割り切れない場合には、万円未満を四捨五入すること。
(1)「中止すべきでない」
「貢献利益が正で共通費を回収しているため。」(20字)
【解説】
この論点もよく知られているので、正答率は高いと思います。しっかりキープしたいところ。
(2)X製品の販売中止により、個別固定費15,000円の80%(12,000円)が回避できると解すると、販売中止しても3,000円は個別固定費として残るので、
必要なY製品の売上高の増加額をXとすると、
24000+(10000+X)×0.4-(10000+3000+1500)-19000=2500
24000+4000+0.4X-14500-19000=2500
0.4X-5500=2500
0.4X=8000
X=20,000 A. 20,000万円
【解説】
設問の文章が少しわかりにくいので混乱した人もいると思いますが、おそらく合っていると思います。ここもキープしたいところ。
(設問3)
D社では、売上高を基準に共通費を製品別に配賦している。この会計処理の妥当性について、あなたの考えを80字以内で述べよ。
「売上高が一番多い製品が一番多く共通費を負担するため、共通費が多い場合は貢献利益が黒字でも営業利益が赤字になり、間違った経営判断をする恐れがあるため妥当ではない。」(80字)
【解説】
文章問題は、何か書けば部分点がもらえると思ってますので、白紙はもったいないです。ただ文章問題は何を書けばいいのか迷うことも多いので厄介。基本的には与件文の内容を因果にまとめて書くことを基本にするといいでしょう。このやり方で大外しはしないと思います。
第3問(配点30点)
(設問1)
年間販売量が⑴10,000個の場合と、⑵5,000個の場合の正味現在価値を求めよ。⑴については、計算過程も示すこと。そのうえで、⑶当該設備投資の正味現在価値の期待値を計算し、投資の可否について、カッコ内の「ある」か「ない」に○を付して答えよ。
(1)と(2)は以下参照


(3)(2810×0.7)+(-5477×0.3)=1967-1643=324万円
「投資すべきである」
【解説】
おなじみのNPV問題です。この設問1は合格者はキープしているのではと思います。
(設問2)
⑴初年度末に2年度以降の販売量が10,000個になるか5,000個になるかが明らかになると予想される。このとき、設備投資の実行タイミングを1年遅らせる場合の当該設備投資の正味現在価値はいくらか。計算過程を示して答えよ。1年遅らせる場合、初年度の固定費は回避可能である。また、2年度期首の正味運転資本の残高はゼロであり、その後は資料における残高と同様である。なお、1年遅らせる場合、設備の耐用年数は4年になるが、その残存価額および処分価額は変化しないものとする。

上記より、正味現在価値=4999-3314=1685万円
⑵上記⑴の計算結果により、当該設備投資を初年度期首に実行すべきか、2年度期首に実行すべきかについて、根拠となる数値を示しながら50字以内で説明せよ。
「2年度に実行すべきである。初年度に実行する場合の正味現在価値と比較して1361万円多いからである。」(49字)
【解説】
設問の条件がよくわかりませんが、とりあえず、以下を前提として計算しました。
①2年度期首に設備投資する。⇒計算上、分かりやすく初年度末に投資とする。
②設備は4年で減価償却する。残存価額(なし)および処分価額(10%)は変化しない。
③初年度の固定費はかからない
④2年度期首の正味運転資本の残高はゼロなので、2年度末に増加する。
この問題より、次の第4問が優先度高いので、この設問2を解答した人はほとんどいないと思われます。仮に正答したとしても、あまり差はつかないと思います。
第4問(配点20点)
(設問1)
D社は、基礎化粧品などの企画・開発・販売に特化しており、OEM生産によって委託先に製品の生産を委託している。OEM生産の財務的利点について50字以内で述べよ。
「設備投資が不要で、需給に応じて発注量を調整できるため在庫リスクがなく、投資資金を貯められる点である。」(50字)
【解説】
第1問の経営分析の「改善した指標」で流動比率を書きましたが、その根拠を踏まえて解答する問題だと思いました。OEM生産をして現金を貯め、次の新製品への投資(自社生産)に備えるためであるという趣旨です。キャッシュフロー向上や流動比率を高めるためと書いてもいいと思います。
(設問2)
D社が新たな製品分野として男性向けアンチエイジング製品を開発し販売することは、財務的にどのような利点があるかについて50字以内で述べよ。
「利点は、①新製品による売上向上②売上原価低減による営業利益率向上③総資産回転率とROAの上昇である。」(50字)
【解説】
価格競争により、売上低減と仕入原価の上昇(人件費はそのまま)で営業利益率が低下し、資産の効率性が落ちてきました。この脅威に対しての新市場開拓です。与件文の冒頭で「資産30億」とありますが、この意味は何だろうと引っかかってました。「資産の効率性」について触れてほしいのではと取りました。ROA=売上高当期純利益率×総資産回転率なので、総資産回転率が上昇するとROAも上昇するので結論に追加しました。
【感想】
解く順番としては、第1問⇒第2問⇒第4問⇒第3問の設問1といった感じでしょうか。1,2,4でしっかり解答できていれば合格点になっているはず。難易度は昨年と同じくらいで、普通かやや易しいと思います。経営分析とCVPは割と基本的な内容なので合格者はキープしているとして、第4問と第3問の設問1が合否の分かれ目になると思います。基本は与件文を因果にまとめる戦略で60点をキープできると思います。
